(年度の変わり目ということで、3・4月は本業から手が離せずブログの更新が思うようにできませんでした。)
私がシルバー人材センターの職員になったのはかなり昔のことですが、思っていた職場環境とは全く異なっていたことに当時驚いたのを覚えています。
非営利団体ということで、ノルマもなく、競争もなく、定時で帰れる公務員的な仕事なんだろうと思っていました。お給料はともかく、転職したのは人間的な生活ができればという考えが第一で、第二にシルバー人材センターの理念や地域貢献性に惹かれたという理由でした。そして、良くも悪くも想像と違う世界がありました。
シルバー人材センターという組織のことを知らない方が多いですし、その事務局の仕事なんて、より分からないですよね。私もそうだったので、一般的な事務局職員の環境をまとめてみます。
まず、公務員や外郭団体(行政の傘下にある特定の非営利団体)が定時で帰れるぬるいお仕事だというイメージがちょっと間違っていました。
「人件費削減」という大義名分のもと正規職員が減らされ、責任ある仕事を少数が持ち、人件費にカウントされない「臨時雇賃金」や「委託費」支出手足となる非正規の方々がたくさんいるという、残念な状態が蔓延しています。特に財源が限定され、収入を確保しづらい非営利団体ではそれが顕著です。
民間でも公共でも、非正規が蔓延したため同一労働同一賃金という考えが出てきたんですね。お金が無いから非正規が増えるのか、非正規が増えるからお金が無いのか…。よくわかりませんが、日本全体の問題だと思います。
シルバー人材センターの職員も同様で、非正規のほうが対時間でみると安価なので、どうしても正規職員数は少なくなります。その結果、少数で責任のある仕事を持つので、結局正規職員は残業が多くなります。
ただ、土日祝日は原則休めますし、厳しい民間企業に比べればシルバー人材センターも公務員も、概ね優しい世界だと感じるはずです。そして、私のように考えて転職希望する人が多いことと、新人教育のノウハウや時間もあまり持てないこともあり、シルバー人材センターでは中途採用が多いです。
すべてのセンターが共通するわけではありませんが、正規職員の仕事は大きく、
●事業担当
●内部業務担当
に分かれます。
事業担当は、請負または派遣・独自事業などの形でお仕事を扱い、発注者と会員を繋ぐ仕事です。これが事務職職員のメインと言えます。
そのほか、総務・経理などの組織管理業務に加えて、様々な委員会(部会)の担当や広報活動などを行う担当があります。職員は数名から十数名のところがほとんどですが、会員数は数百名から数千名いますので、事業や委員会で関わる会員を含めれば職員一人あたり数百名の会員と関わりながら仕事をしていくことになります。それらの仕事を3~5年でローテーションしながら組織の仕事をすべて扱えるようになっていきます。
臨時職員や嘱託職員という非正規雇用の方は、正規職員のサポートにあたるのですが、多くが窓口対応や電話応対を担当し、一部、専門的な業務に入ることもあります。また、元から専属業務に絞った採用もあります。
ここから各業務の内容を詳しく説明します。
【請負事業担当】
①発注者からの依頼を受ける(原則営業はしない=民業圧迫がNGであるため)
②依頼内容を確認し、センターで受けられるか事前把握する
③下見や現地打ち合わせを重ね、見積もりを提示する(会員と行うこともある)
④契約事務を行う
⑤契約後、希望会員を募り、選考・面談・手配する
⑥業務の下準備や資材手配などを行い、業務の円滑化をサポートする
⑦無事遂行されるよう定期的にフォロー(とトラブル対応)
⑧業務終了後、会員から報告書を受け取り、内容確認・システム登録・請求書作成を行う
⑨発注者へ請求書を送り、支払まで確認する
※派遣事業では、更に派遣契約の事務が加わる。
【委員会(部会)対応】
①会員が主体となる委員会組織の運営サポートとして担当が割り振られる
②委員会開催にあたり、日程調整や会議室を抑える
③事前資料などの準備
④会議への参加、事務局からの報告、質疑への回答
⑤事務局内外への情報発信
【経理・総務関連】多岐にわたるので、項目にて。
●人事・労務管理
●施設・備品管理
●給与計算、委託や外部業者への支払
●補助金申請・報告
●経理
●決算・外部報告対応
シルバー人材センターの固定経費は人件費が大部分を占めているのですが、事務局の職員規模は、そのセンターの事業実績(会員数や仕事の受注量)に加え、自治体からどのくらい補助金を受けているかで決まります。自治体が高齢者の健康寿命延伸にどれだけ力を入れているかによって決まる。といっても過言ではありません。
元気な人を、少しでも長く元気に。というのは当たり前のことですが、実際のところ介護保険制度などへの「給付事業」が優先されるため、元気高齢者のために税金を出すのは贅沢だ!と考える方も多く、公務員の中にもそういう考えを持つ方がいますので、まさに自治体の考え次第でいかようにもなるということです。
シルバー人材センター事業は非営利団体ながら「事務費」収益があるため、事務費の利益率を上げることで民間企業のように独立運営ができると考えることができます。ただ、それは公益事業ではなく営利企業であり、組織の存在意義から離れてしまいます。
職員数が少ないとどうなるかというと、前述のとおり残業が増え、手元の仕事に忙殺されてしまいます。日中現場に赴くことが多く、夕方以降じゃないと事務ができない。という民間企業でもよくある動き方がシルバー人材センターにもあります。総務や経理に多く人を充てられず、結局そこも残業…となりがちです。
そうなると、本来やりたい仕事に手が回らず、事業規模が頭打ちになります。一人が持てる仕事量には限界がありますので、より多くの会員に仕事や活動の機会を提供できるはずなのに、会員や地域のポテンシャルが生かしきれなくなってしまいます。財源は限りがあるので仕方ないのですが、この課題に頭を悩ませているセンターが多いです。
とはいえ、ただ「補助金が少ない!」と駄々をこねていても仕方ないので、各センター様々な創意工夫をして、経費削減に努めています。想像以上にDX化も進んでおり、会員(高齢者)にも協力を仰いでいます。時代に合った組織に変化し続けることで、できるだけ多くの会員や地域の方々に貢献できるよう努力しています。
補助金がテーマではないのでここまでとしますが、基本的には非営利団体ということで人手不足になりがちながら、少人数でも創意工夫で運営しているということを知っていただければ幸いです。
最後に、一番伝えたいことですが、シルバー人材センターで働いていると、「多くの会員と接することで考え方や気持ちが大きく動かされる」ということです。
ぬるいと思って入ってくる中途採用の職員が多いのですが、多くの職員がそうではないことをすぐに体感しつつ、大きなやりがいを感じ、働くことになります。そういう良い場所だと思っています。
